河本教室120バナー


中学入試の人気
 公立中学の不人気
 公立中高一貫校
 京都&京阪沿線の塾選び


ヒトと愛猫の生活情報誌「ねこのきもち」
  なぜ中学入試?
 少子化時代を迎え、児童数が減少しているにもかかわらず、国立・私立中学校入試では厳しい競争が続いています。

 私立中学校の人気の原因は、次の2つであるといわれています。さらに、新たに経済面からの理由も発生してきたようです。
まず1つは、カリキュラムが柔軟に構成され、その上授業数も多く確保され、6年後の大学入試に有利であることです。
もう1つは、各校ごとに明確な教育方針が存在し、それに基づく情操教育やしつけ教育が行われているということです。

 では、それぞれについてさらに詳しく見てみましょう。

(1)カリキュラム
 6年一貫私立中高の、難関国公私立大学の合格人数は群を抜いています。さらに、その現役合格率の高さには驚かされます。
 一般的な大学入試のないエレベーター校においても、急速にカリキュラムの見直しが実施され、大学での学習内容や学習スタイルを前倒しして、大学の教員が中高で入門の授業を実施したり、第二外国語をスタートしたり、論文を書かせたり発表させたりと、内容的にも魅力的なものに様変わりしています。

(2)教育方針
 私立中学校は、設立母体が、宗教法人(仏教・キリスト教など)、企業・財界団体などの場合が多く、それぞれの活動に裏打ちされた、独自の教育方針を持っています。
 したがって、教育方針や校風が明示されており、その中味を吟味して受験校を選べます。
 また、はじめに述べた柔軟なカリキュラム構成の結果、「ゆとり」が発生し、それを利用して、芸術活動や体育活動でも高い水準の教育が実現しています。そのため、学校内の立派なホールや体育館、グラウンド、学内LANといった施設が必需な存在となるわけです。

(3)学歴による賃金格差問題
 日本経済新聞2008年5月28日(水)で筑波大学の吉田あつし教授が、経済面から私立中学熱について分析しておられます。

=======これより抜粋======
高まる私立中学熱
グローバル化も一因に(2008.5.28日経新聞)
ポイント
・私立志向の理由は公立不信だけではない
・私立進学熱放置すれば階層固定化の恐れ
・公立校の学校選択制だけでは不十分

吉田あつし 筑波大学教授
 首都圏での今年の私立中学受験者数が5万人を超えるなど、私立や国立中学(以下では私立中学と総称する)受験熱が高まりを見せている。これには、近年の「ゆとり教育」導入を契機とした公立中学不信が背景にあるようにいわれているが、データを時系列的に追うとそれだけが原因ではない。以下で経済学の立場からこの問題を分析したい。

 東京都の公立小学校卒業者数は、1985年の17万人をピークにその後減少し、2005年では9万人弱となった。他方、公立小からの私立中学進学者数は、85年に1万3千人だったが、93年には1万5千人を超えた。その後2000年初頭には1万4千人強まで漸減したが、そこから再び増加、05年には1万5千人にまで戻っている。
 小学校卒業生が減ることは、私立中学を選択する比率が変わらなければ入学者数が減少することを意味し、私立中学にとっては死活問題であったはずだ。しかし、年額70万円程度の学費が必要になるにもかかわらず、私立中学選択比率は高まっていった。
 東京都区部と市部にわけた公立小学校からの私立中学進学率の推移を見ると(図)、区部の進学率は、80年代後半のバブル期に10%から15%へと大きく伸び、90年代以降伸びは緩やかになったが、05年には20%を超えた。市部についても同様で、05年には12%を超えている。東京都全体では、同年で17%の進学率である。
 この期間、私立小学校入学者が3−5%程度あり、彼らはたいてい同系列の私立中学に進学するので、東京都全体では現在4分の1弱が私立中学に通っていることになる。
 なぜ首都圏の私立進学率がこうした上昇を示してきたのか。筆者は公教育の質に関する親の不満の増加だけでなく、大卒・高卒間の賃金格差の拡大が大きいと考える。

 30歳代前半及び後半の男性労働者の、大卒・高卒間の賃金格差を図でみてみよう。子どもが小学校在学中で中学受験を考える親の世代がこの世代だ。彼らが子どもの中学を私立にするか公立に進ませるか考える際、自分の経験を参考にするはずだ。自分の世代の賃金格差が大きければ、子どもの大学進学の可能性を高めようと私立中学に進学させるだろう。
 実際、30歳代前半、後半とも、80年代後半から賃金格差は拡大している。実は、90年代における若年労働者の大卒・高卒間賃金格差の拡大は、米国や英国、カナダでも観測されている。


学歴で賃金・格差拡大
階層固定防止へ公立改革
 なぜ、30歳代男性の賃金格差が拡大してきたのか。
 第一の理由として、経済のグローバル化と知識社会化が考えられる。経済のグローバル化で、主として高卒などの労働者が担ってきた製造業でのブルーワーカーの仕事が途上国に移転した。また貿易自由化の進展で、農林水産業での雇用も縮小してきた。その結果、国際競争にさらされていないサービス業が高卒労働者の受け皿となり、生産性の伸びが低いことを反映して賃金の伸びも抑制された。
 金融技術の発展やIT(情報技術)革命などの技術革新の影響もある。こうした技術を開発し使うことができる労働者の需要が高まり、大卒労働者の需要が押し上げられ、若い世代の賃金が上昇した。これらの理由で、大卒・高卒間賃金格差が拡大したのだ。
 第二の理由として、85年以降30歳代の大卒男子労働者の需要に比べ、供給が相対的に少なかったため、賃金格差が拡大したことが考えられる。男性の四年制大学進学率は70年代前半に生まれた団塊ジュニア世代が大学に進学する80年代後半から90年代はじめは35%台で低迷、その後上昇し07年では50%を超えた。他方、女性の大学進学率は86年の12%強から07年の40%強まで一貫して上昇し続けてきた。
 その結果、同じ30歳代でも、大卒労働者の高卒労働者に対する相対的な供給が少なかった男性労働者の賃金格差は拡大した。一方、相対的供給が多かった女性労働者の賃金格差は、男性と比べると拡大幅は小さかった。
 いずれにしても、中学生の親世代の賃金格差拡大が私立中学進学率の上昇の理由の一つであることは間違いない。
 もちろん、公教育に対する親の不満も、確かに私立進学率上昇の理由の一つだろう。80年代前半は、団塊ジュニア世代が次々と中学生となった結果、公立中学が過密になり、様々 な問題が生じて「荒れる公立中学」として報道された。これが教科内容削減や教育時間削減をする理由の一つに挙げられ、「ゆとり教育」導入につながってきた。

 図でも80年代後半に私立中学進学率が急増していることが見てとれるが、これは、80年代前半の「荒れる公立中学」の印象が強く、これを避けようとしたことが理由として想定される。同時に、この時期はバブル期で、所得も急速に伸びたので学費の負担も高く感じられなかった。
 バブルが崩壊して、家計所得が減少すると同時に、公立中学に落ち着きが戻った90年以降も、私立中学進学率はなお伸びている。85年以降一貫して、公立中学生徒一人当たりの公的な教育支出が増加するとともに、教員一人当たりの生徒数が減少するなど、公立中学の教育環境は改善された。他方、この時期は、学校週休二日制・の順吹導入に伴い、89年、92年と順次授業時数が減り、02年の「ゆとり教育」導入に伴う指導要領の改定では、三年間の総授業時数が3千150時間から2千940時間へと減らされ、特に数学の学習内容が3割カットされた。
 図でそれまで10%程度で比較的落ち着いていた私立進学率が99年から再び伸びているのは、98年に「ゆとり教育」の方針が公にされたことが、原因の一つだろう。

 賃金格差は近年も拡大傾向にあり、私立進学熱は今後も高まるだろう。しかし、それを放置しておくことは、私立の学費を払える豊かな社会階層の子どものほうが将来高賃金を得る可能性も高いという意味で、社会階層の固定化につながる。教育の機会均等の実現のためにも、公立中学でも十分な学力がつくことを保障すべきである。
 だが現状ではそれに向けた、取り組みはまだ不十分だ。東京では、公立中学校の授業改善や、学校選択制、公立の中高一貫校などの教育改革が進められた。特に私立中学進学率が低い北部や東部の区を中心に、2000年以降学校選択制が順吹導入され、現在では18区で導入されている。筆者の研究室では、23区中21区の区立小学校別の私立中学進学者数を用いて、学校選択制が私立中学進学率に与えた影響を検証した。
 その結果、学校選択制の導入は全体では、私立中学への進学率を抑えることがわかった。しかし、管理的職業や専門的職業など、高学歴・高所得の住民の比率が高い学校区では、学校選択制度の導入で逆に私立進学率が上昇した。他の学区からの通学者が増え、全体的な学力が下がることが懸念されたからだろう。
 同様な事実は「聡明(そうめい)な子の逃避」(Bright Flight)と呼ばれ、米国の学校選択制導入などでも報告されている。学校選択制は公立間の学力格差を縮めるが、「聡明な子の逃避」を招き、私立・公立間の学力格差を拡大させる可能性がある。
 教育の機会均等を実現し社会階層の固定化を防ぐには、学校選択制だけでは不十分だ。公立中学の教育改革による学力保障をさらに進め、公立の中学や高校からでもきちんと大学に進学できる可能性を高めなければいけない。それには、成績上位層の学力をさらに伸ばすため、進学塾と連携した有料授業を設ける杉並区の和田中学の「夜スペ」のような、公立中学の自由な発想に基づく自主的な学力向上の活動を応援すべきだろう。公立学校間の格差より、公立・私立学校間の格差の方がより重大な問題なのだ。

よしだ・あつし 58年生まれ。京大卒、阪大博士。専門はミクロ計量経済学
=======ここまで抜粋======


 
中学入試の人気
 公立中学の不人気
 公立中高一貫校
 京都&京阪沿線の塾選び
このページのTOPへ 河本教室 234*60